私たちのそんな事情をよそに、期末試験は行われた。


翼も光も、試験直前まで教科書とにらめっこしていたが、思ったより解けたらしく、終わると晴れやかな笑顔で駆け寄ってきた。


「雫ー!やっと終わったよー!」


「なんとか全科目赤点回避できそうだわー。さすが俺!」


「うわっ、なんであんたがここにいるのよ。自分のクラス戻りなさいよ」


「もう放課後なんだからどこにいたっていいだろ!」


テストが終わって解放された気分なのか、2人の口喧嘩もいつもより激しめだ。


いや、いつもこんくらいだったっけ?


「もう、あんたといるとほんっとに疲れる!私もう部活行くから!じゃあね、雫!」


「あ、うん、がんばってね」


そうか、今日から部活再開か。


光に向かってべーっと舌を出した翼は、体育館へと走っていった。


「相変わらず可愛くねえ女!」


「まあまあ、俺らも帰ろう」


鼻息を荒くして怒る光を楓がなだめながら、教室を出る。


私と紅雅も、それに続いた。


校門前では、ガクが運転する車が停められていた。


今まで暁の倉庫に行くときは、大抵歩いて行くか誰かのバイクの後ろに乗っていた。


こんないかにも、な車が毎日校門の前で自分を待っているなんて嫌だ、と言ったら、紅雅が私の意見をのんでくれたからだ。