文化祭が終わって、暁の倉庫に戻ってきた。


・・・・・・のは、いいんだけど。


なぜか、鬼神がご機嫌斜め。


どうしたんだろ。


文化祭、楽しくなかったのかな。


「雫、お茶いる?」


「あ、うん。ありがとう光」


光に返答した瞬間、なぜか空気がピシッと固まった。


鬼神がゆっくりと顔を上げる。


その眉間にはしわが深く刻まれていて。


な、なんでそんなに怒ってんの・・・・・・?


「京極さん、光の呼び方、変えた?」


「え、ああ・・・・・・。後夜祭の時、光からこう呼べって言われたから」


「・・・・・・後夜祭、お前ら二人でいたのか」


異様な空気に含まれる。


奥山はなぜか苦笑してるし。


光はなぜか肩震わせて笑いこらえてるし。


鬼神はますます不機嫌オーラ出すし。


なんなんだほんとに。


「おい、雫」


「な、何?」


「お前光だけ名前で呼んで、特別扱いか」


「・・・・・・は?」


「俺のことも名前で呼べ」


「は、はあ・・・・・・。別にいいけど」


戸惑いながらも了承すると、鬼神の不機嫌オーラが少し和らいだような気がした。


「じゃあ、俺のことも名前呼びでよろしくね。俺もこれからは京極さんじゃなくて、雫ちゃんって呼ぼうかな」


「お、奥山まで・・・・・・?かまわないけど、急にみんなどうしたの・・・・・・」


世間では名前呼びが流行ってんのか?


暴走族も、流行りとか気にするもんなのか。


まあ、暴走族ってのを除けば、こいつらも普通の男子高校生だもんなあ。


勝手に一人で納得して、うんうんと頷く。


そんな私を、三人は呆れたように見ていたとは知らないで。