「ね、雫。似合う?」


「うん。似合いすぎ。とりあえずこの男保健室に運んでくる」


「えー、そんなのほっときなよー。てかなんで鼻血出してんの?」


あんたのせいだよ。


やれやれ、文化祭準備がこんなに大変だとは。


鼻血を出してふらふらしている男にティッシュをあげてから、保健室まで付き添おうと肩を貸す。


なぜか男の血は止まるどころかさらに大出血状態だったけど、なんとかかんとか保健室まで送った。


教室に戻ると、翼が新しい看板の板を持ってきてくれていた。


「雫、看板書き直すの手伝うよ!」


「ありがと。でもまずそれ着替えてからにしよっか」


「えー、もっと着てたいのにー」


むっと頬を膨らます翼に、また何人かが赤面して鼻血を垂れ流す。


あんたがその格好だと働ける奴が激減するんだよ。


「汚したらまずいでしょ。ほら、着替えてきな」


なんとか翼を説得して、着替えに行かせた。


さて、看板やりますかー。


ペタペタとペンキを塗っていく。


さっきまで二人でやってたからか、一人でやるのが結構しんどい。


翼、早く戻ってこないかな。


なんていう私の願いもむなしく、翼はいつまでたっても戻ってこない。


どうしたんだろ、と翼が着替えている空き教室へ向かうと、翼が今度はナース服を着てこちらに向かってきた。