思わず目をぎゅっとつぶった、その時だった。


不意に顔に当たった柔らかい髪の毛と。


唇の柔らかい感触に、目を開ける。


「っ、!?」


不意打ちのキスに、頭がついていかず。


ただ、唇と、鬼神が触れる頬だけが熱くて。


慌てて唇を離して息を吸い込むけど、鬼神は私を離してくれない。


再び触れた唇に、肩がびくりと揺れた。


鬼神の舌が私の唇を軽く舐めてから、口の中に入ってきた。


頭が、しびれる。


息苦しいのに、熱くて。


嫌なはずなのに、拒めなくて。


涙が滲んで、視界がかすむ。


ようやく唇が離れた頃には、もう私は息絶え絶えで。


目の前の余裕そうな鬼神を睨むことも出来ず、ただ空気を欲していた。


「お前今、相当エロいぞ」


そう言って自分の唇を舐める鬼神も相当エロいが。


「・・・・・・っ、黙れ、ばかっ」


そう言い返すのがやっと。


そんな私を、鬼神は勝ち誇ったように見下ろす。


「そういう顔は俺以外に見せんな」


何様のつもりなんだこいつは。


付き合っているわけでもないこいつに。


なんでこんなこと言われなきゃいけないんだ。


言いたいことは、たくさんあるのに。


頭は上手く、働いてくれなくて。


回復したら、絶対文句言ってやる・・・・・・。


そう決意して、私はそのまま力尽きて、眠ってしまったんだ。