女の子は涙目だ。


翼ははっきりしないのを嫌うからなあ。


しかも見た目はギャルと変わらないから、迫力がすごい。


「まあまあ、翼。落ち着いて」


なんとか翼をなだめてから、女の子に声をかける。


「それにしてもこんな量、1人で運んでたの?」


「は、はい、先生に頼まれて」


ここの先生達は人使いが荒いなあ。


「翼、先に行ってて。私これ運ぶの手伝うから」


「ええ?だったら私も・・・・・・」


一緒に残ろうとする翼に、ゆるゆると首を振る。


「翼は部活があるでしょ?」


「うー、そうだけど」


「2人だったらそんな量じゃないから大丈夫。ね?」


翼は渋ったけど、部活にも早く行きたかったみたいで、先に行くことを了承してくれた。


「無理はしちゃだめだからね!」


最後に怖い顔で、でも優しい言葉を残して。


私は苦笑い。


どうも私の周りは心配性が多いらしい。


「じゃ、運ぼっか」


「あ、はい」



紙束を半分に分けて、目的地まで運ぶ。


どうやら使わなくなった倉庫にこれを運ぶらしい。


せっかく作った資料だというのに、生徒がまったく興味を示さなくてお蔵入りとなったそうだ。


まあ、こんな学校じゃ、まともに勉強してる人も少ないだろうなあ。