外に出ると、ちょうどガクさんの車がこっちに向かっているのが見えて。


奥山と一緒に車に乗り込んだ。


「ごめんねガクさん、朝から車出してもらっちゃって」


私の言葉に、ガクさんは朗らかに笑った。


「いいんすよ。あなたは総長の大事な人っすから」


「大事な人?」


聞き返すと、ガクさんは本人に聞いてみてください、と言って車を走らせた。


そういえば、なんで鬼神は私を探していたんだろう。


肝心なところ聞くの忘れてたな。


鬼神のことを思い出して、また少し顔が熱くなる。


あーもうやめやめ!


さっきのことは忘れよう!


一人で首をぶんぶん振る私を見て、奥山はクスッと笑った。


「今朝、紅雅と何かあった?」


「へ!?いや、別に何にも、」


分かりやすくたじろぐ私に、奥山はまた笑う。


いつもならこんな自分のペース乱されることないのに。


暁の人たちといると、どうも調子が狂う。


「信じてあげて、紅雅のこと」


「え?」


「紅雅は、君のこと誰よりも大切に思ってるから」


それは、どういう意味なんだろう。


よく分からなかったけど、あまりにも奥山が優しく笑うもんだから、何も聞けなかった。


ただ、奥山が鬼神のことを大切に思ってるのだけは、伝わってきた。