「それより京極さん、体調は大丈夫?」


「ああ、うん。もう平気。昨日はありがと」


元気だよ、と身体を動かしてみせると、奥山は少し安心したように笑った。


「それで、学校に行きたいんだけど」


「え、今日学校に行くつもり?」


「うん。翼にも色々心配かけてるだろうし」


だから帰るね、と階段を降りようとすると、奥山から慌てて呼び止められた。


「待って待って、歩いて帰るの?危ないよ」


ちょっと待ってと奥山が自分の部屋に入って、2、3秒で戻ってきた。


早いな。


「送ってくから、一緒に行こう」


「え?いや、道はもう分かるし、大丈夫だよ」


「だめだよ。ただでさえ、怪我もしてるんだから。今ガク呼ぶから、待ってて」


そう言って奥山はどこかに電話をかけ始めた。


たぶん、ガクさんだろう。


こんな朝早くから申し訳ないな。


「京極さん、ガク今から来てくれるって。外で待ってよう」


「あ、うん。なんか、ごめんね」


「いいんだよ。こんなときくらい、頼って」


笑顔でそう言ってくれる奥山は本当に紳士。


少し心配性過ぎる気もするけれど。