声が、聞こえる。


『雫!おせーぞ!』


君が、笑ってる。


あのときと変わらない、優しい笑顔で。


君に触れたくて、抱きしめたくて。


懸命に足を動かすのに。


その距離は、いつまでたっても縮まらない。


どんなに手を伸ばしても、届かない。


掴もうとしても、その手は空を切るばかりで。


ねえ、どうして。


こんなに近くにいるのに。


どうしてこんなにも、遠いんだろう。


お願い。


遠くへ行かないで。


置いていかないで。


まるで水の中に溺れるみたいに。


上手く、息が出来ないの。


口から小さな泡を吐き出して。


そのまま、深く、深く沈んでく。


ああ、もう、無理なのかな。


このまま、目を閉じたら、楽になれる?


ねえ、誰か、教えてよ・・・・・・