「やめて、おねがいっ、」


「うるせえなあ黙ってろよ!」


ばきっ、と鈍い音が響く。


頬を殴られた女の子は、うぅ、と唸って静かに涙を流していた。


女の子に対して、ずいぶんと酷いことをする。


彼らには、殴られる痛みなんて、分からない。


「おい」


後ろから声をかけると、男はいらついたように振り返った。


「なんだてめえ。女あ?女がこんなとこに何しに来やがった」


「お前らこそ、こんなところに女連れ込んで何やってんだ」


がら空きの腹に膝蹴りをお見舞いする。


「がはっ」


男は苦しそうにうずくまった。


「な、こいつ、」


「うるせえよ」


他の男も容赦なく叩き潰す。


最後の1人、と思ったら、足をがっ、と捕まれた。


足下を見ると、最初にのした男が気持ち悪い笑みを私に向けている。


「捕まえた」


ぞくっと背筋が寒くなり、後ろを振り返ると、そこにいたのは何十人もの男達。


電話で仲間でも呼んだのだろうか。


鉄パイプやら金属バッドやら、物騒なもの持ってやがる。


60人弱、ってとこかな。


さすがに分が悪い。


足を掴んできた手を思いっきり踏み潰してやってから、体勢を整える。


とりあえず、女の子だけは守らなきゃ。


最初にいた6人中の最後の一人を片付けてから、女の子を背にして男達と向き合った。