「雫!」


突然後ろから名前を叫ばれて、驚いて振り返る。


公園の入り口のところに、息を切らしながらこちらへ向かってくる父の姿があった。


「あ・・・・・・」


「あの人、お前の親父さん?」


ヒロ兄の声に、わずかに頷く。



近づいてくる父の姿に、顔を上げられず俯く。


どうしよう、迷惑をかけてしまった。


怒られるっ・・・・・・。



「雫」



「っ、」



「顔上げろ。ちゃんと、親父さんの顔見ろ」



そんなこと言われたって・・・・・・。



「大丈夫だから」



だけど・・・・・・。



「俺が隣にいる」



確信なんてない。



大丈夫だなんて、分からない。



けど、ヒロ兄の言葉に少しだけ安心して、私はゆっくり顔を上げた。



目の前には、肩を揺らす父親。


隣には、私と一緒に父に向き合ってるヒロ兄がいた。



「雫・・・・・・」



父親の手が伸びる。



殴られる・・・・・・!