「にしても、夜になればさすがに寒いよなー。もう7月だってのに」


「・・・・・・」


「お前、寒くねえ?」


「少し、寒いかも・・・・・・」


「だよな。ほら」


不思議な人は私に自分が着ていた学ランの上着を乱暴に被せた。


「ガキは風邪引きやすいからな!」


そう言ってまた、あっけらかんと笑う。


この人、変だ。



・・・・・・でも、優しい人だ。



「あ、あの、中学生ですか?」


「ん?ああ。中学2年!お前は?」


「小学5年生・・・・・・」


「名前は?」


「雫・・・・・・」


「俺は浩!よろしくな、雫」


「よろしくって・・・・・・?」


「決まってんだろ?今日だけじゃなくて、俺、またお前と遊びてえもん」


砂をさらさらと掴んでは不格好な山にしていく浩さん。


中学生が砂山で遊ぶなんて、どう考えてもつまんないだろうに。