「紫樂は鬼灯組との繋がりの一切を断ち切った。小田巻自らがそうしたらしい」


まあ、無事では済まなかっただろうけどね、と楓は呟く。


小田巻がどうなったかは知るよしもないが、とりあえずもう暁の敵になることはないだろう。


それより問題は・・・・・・。


「鬼灯組」


私の頭の中の言葉を紡ぐように、紅雅が口を開く。


楓も光も、口をきゅっ、と結んでその瞳を紅雅に向けた。


「紫樂の倉庫にいた鬼灯の奴らはせいぜい50人。主要メンバーは1人もいなかった」


「じゃあ、俺らを襲った奴らも鬼灯ん中じゃ雑魚だったってことか」


だっせえ、と光は苦笑する。


「まだ安心はできないね。鬼灯は今回の件で間違いなく俺らに目をつけただろうし。そんなすぐには動かないと思いたいけど」


ね、と楓が紅雅に同意を求めると、紅雅はその目を鈍く光らせた。


「鬼灯は潰す」


力強く低い声が、病室に響く。


その顔には恐怖とか不安とか、微塵も感じられなくて。


私はまた少し、勝手に疎外感を感じてた。




途端にポケットの中のスマホが震える。


画面を見ると、見慣れたアイコンの下に5文字のメッセージとそれの倍のキラキラした絵文字が並んでいた。


「ん?何、誰から?」


「あ、ちょっと勝手に、」


「ギャルちゃんじゃん。なになに、海行きたい、ハート······」


光が文字を読み上げて、しばらくその画面を見つめてる。


やっと目を離したと思ったら、にやりと気味の悪い笑みを私に向けた。


「楽しそうじゃん」


光が何を考えてるのか、容易に想像できてしまい、私は呆れ顔で盛大にため息を漏らした。