「どうした、お前は来ねえのか」


光が男を挑発する。


男は逆上して、ポケットから折りたたみ式のナイフを取り出して光に向かってきた。


それを光は軽くよけて、その手を蹴り上げる。


ナイフは宙を舞ってから、地面にカシャン、と落ちた。


「ぐぅっ・・・・・・」


ナイフを失って焦る男の顔を光の拳が容赦なく殴りつける。


「失せろ」


「がっ・・・・・・」


男はそのまま気を失って、地面に倒れ込んだ。


リーダー格を失った敵達は、どうすればいいのか、と戸惑いを見せる。


こうなればもうあちらに勝ち目はない。


あとは全員警察送りで今日の仕事も終了だ。








・・・・・・そう、思ったのが、いけなかった。


「こりゃあ、派手にやったなあ」


突然耳元で聞こえた、男の声。


横を向くと、声の主は私に向かってにっこりと笑った。


「さあ、お姫さん。お眠りの時間だ」


「なっ」


バチィッ、と首元に強い衝撃を感じて、視界がぐらりと揺れる。


遠のく意識の中、光が私の名前を呼んだ気がしたけど、答える前に、ぷつりと真っ暗な闇へと放り込まれた。