「ぱっとしない返しだねぇー。そんなんで一周して、間が持つわけ?」


ナギちゃんが呆れ笑いしながら、ポケットに手を突っ込んで歩き始めた。


「あたしが話しかけるから大丈夫だもん!」


ナギちゃんの背中にぶつけた意気込み、その声は全然小さくなかった。


これじゃあたしが灰野くんを引きずっていること、本人にばれちゃったよね!?


恐る恐る視線を灰野くんに移すと、灰野くんはさっきと大して変わらないかたい表情だ。


……灰野くんは、やっぱり鈍感だと思う。



恥ずかしいから、それでよかったけど。
ここまで鈍感なのはどうかと思うよ、灰野くん。


「はぁー……」


次に聞こえたのは、まさかの灰野くんのふかぁーい溜息。


……もしかして、いや絶対に迷惑だった?

だってそうとしか思えない顔してる。


もう他のメンバーはぺアを決めはじめている。


どうしよう、後戻りできない。



「灰野くん……嫌だったよね?ごめんなさい……」


両手をぱちんと合わせて頭を下げる。


そんなに迷惑がられるとは思ってなかった。


ちょっと泣きそう。


「嫌なんて言ってないだろ」


ぴしいっと凍り付きそうなほど冷たい声。

どうしよう、余計に怒らせた。


こんなつもりじゃなかったのに。


うまくいかないよ。


リホちゃん、ナギちゃん、どうすれば正解なの?