灰野くんの方を振り向いたら、目が一瞬あったはずなのに、すーってそらされた。


本当だとしたら……それって。


「……嬉しい」


灰野くんが、そんなことしてくれたの……?

信じられないけど……もしそうなら幸せ者すぎる。


でも大変なことになった。

なぜか灰野くんの点数がクラス中に一気に知れ渡ってしまったから。


「ねぇ彼女のために10点取った人、ペンそっちに転がっちゃったから拾ってくれる?」


「……どーぞ」


「おーい!彼女のために10点取った人ー、先生が呼んでたよー」


「まじうざい……」


灰野くんがそこら中でへんなあだ名で呼ばれてる。


「みんなやめてよ……」


ってあたしの声はどこにも届かず。