恥ずかしすぎて、もうだめ……っ。
たまらなくなって、灰野くんの胸にぎゅうっとしがみついたとき。
ふっと、唇が離れた。
「はぁ……」と息を吐く灰野くんが、大人っぽくて……知らない人みたいで。
乱れた息、うるさい心臓、もう全部にへんになりそう……。
「もうこれ以上は……俺、やばい」
色っぽく火照った灰野くんを見上げて、あたしはただ、頷くしかできなかった。
「……ファーストキスの夢、壊れなかった?」
そんな優しい声で聞かないで。
ずっと、灰野くんとしたいって思ってたキス。
一回失敗させちゃったキス……。
想像以上過ぎて、どうしていいかわかんないよ……。
へなへなと床に座り込んだあたしを、灰野くんはきょとんと見てから、ほんの少し視線をそらして笑った。
「……四年越しだったね」
恥ずかしそうな横顔に、あたしはずっとドキドキし続けた。



