ん?

あ。

あれ?

え?


「やば……!!」

「わかった?……ってすげー青ざめ方してんな」

「俺残り捨てて……ない、かぁ……」


もう存在ごと忘れてた。



「それが嫌だったんだって」


なんだよそれ、ちょっと可愛いけど。


「でもそんなんで泣く?」


「逆に藍田さんの部屋でソレ見つけたら伊吹どうすんの?」


「それは泣きたいけど。いやそういうことじゃなくて」


「やきもちだろーが!」


だからいちいち叩くな。

やきもちって、あんなんだっけ?


「あー……やきもちじゃない気がしてきた」

「なんで?」


「多分ソレを発見したあとで俺、藍田さんの手、つかんだんだよ。そしたらバシーン。って振り払われた」

「バシーン……」

「……バシーン」

「あー、それは引かれてんな」


あっさり言うよな……。
でも俺もそう思う。


「……ああもう最悪」


ずるずると机に伏せる。


「落ち込み方が女子」


「うるっせーよいちいち」


「いっそその残りでやっちゃえば?良さがわかって万事解決だろ」


「もうお前意味不明。地中海に沈んで来い」


「藍田さんの裸に緊張して失敗すんなよ伊吹」


「まじで死ね」