【完】俺がどんなにキミを好きか、まだキミは知らない。

「あ……?」


何やってんだ俺?
僕壊かよ。


一気に羞恥心が溢れだして、大きく後ずさったとき。


そんな俺を見ていたらしい山本が言った。


「ナチュラルハイってすげーな」


バチ―ンと背中を叩かれて、今度こそ頭がはっきりとした、気がしたんだけど。




「藍田!俺何秒だった?!」


ザブッと陸に這い上がった佐藤が藍田さんのすぐとなりについてストップウォッチを覗き込む。


……イラっ。
と、し、な、い。
俺はそんなに器小さくない。


「え?!あぁっ、まだ止めてなかった!ごめん!」


ピッとストップウォッチを停止させた藍田さんに「まじかよー」と楽しげに笑う佐藤。


うん。
イラっとする。

俺はテニスのラリーでも見るかのように二人を目で追う。


「ごめんーっ佐藤君!」


両手をこすり合せてペコペコしている小さい体。


「ちゃんと責任とってよ?」


にやりと笑って藍田さんの髪を触る佐藤。


「あ、もう!濡れるってば!」


身をよじる藍田さん。


それ、なんの茶番?


おい、佐藤。


「触んな」


ガシッと首根っこ掴んでレーンに戻る。



「え?!なんで?!」

と暴れる佐藤はさっさと察しろ。