「何もしてないようにみえる?今まで俺は恋愛相談に扮して、胡桃に好きな人のことをどれだけ好きかしっかり伝えてきた」


「だから、それじゃ意味ないだろ」


結局他人の恋愛相談で、あの鈍感な藍田さんに伝わるはずなんてないんだから。


「えーわかんない?意外。例えばさ」


ナギの口角が楽しそうに上がっている。

ごくっと唾を飲んだ。


「例えば。灰野と俺が好きって伝えたとするじゃん。好きって一言の持つ情報量が全然ちがうわけ。わかる?無駄なことなんか、俺はしない」


「……じょうほうりょう」


こいつ……まじか。策士?


「灰野は俺と仲いい胡桃が嫌なんだろ?俺は、灰野を好きな胡桃でも全然愛せる」


「……意味わかんない」


「要するに、俺と灰野じゃ器がちがう」


ナギはコーラを一気に飲み干して、ぷはっと息を吐く。
余裕たっぷりの目が俺を見ている。


ものすごい図星で文句もでない……。