ゴンゴン、と机の脚を蹴られた。

隣を見れば、山本がこっちに片足を伸ばしてにやっと笑っている。


視線を落として無視する。


ゴンゴンゴン。

ゴンゴンゴンゴン。


「なんだよ!」



うるせえな山本。


「藍田さん感激してるよ。あの顔、俺でもちょっとキュンとくるものがある」


「はぁ?」


何がキュンだよ、気持ち悪い。


目を向けると。



体操着に着替えてきた藍田さんのポニーテールが楽しそうに揺れている。


赤いほっぺに手を当てて、大きな目をキラキラさせた藍田さんに。


山本の表現がぴったりな気持ちになってムカついた。


ふうっと、わかりやすいくらい深呼吸してから、藍田さんはこっちに振り向く。


やば。

目をそらして、パンを齧る俺を、山本が笑う。ムカつく。
やばい、藍田さんが来た。