高遠くんの熱にうなされて





陽都くん。たしか、韮崎くんの下の名前。知り合いなのかな。


「……深月(みづき)さん」


韮崎くんが“深月さん”と呼んだその人は、とんでもない美人さんだった。


「どうしたの?こんな可愛い子連れて!彼女?“ここには来ない”なんて言ってたのに」


「……深月さん」


韮崎くんがさっきより強く彼女の名前を呼ぶと、彼女はハッとしたようになって黙る。


「この子、クラスメイト。勝手に誤解するのやめて。あと兄さんに言うのもやめて。……じゃ」


どうやらわたしに彼女を紹介する気はないらしく、そのまま早い足取りのまま店を出ていく。


「に、韮崎くん…!」


「あ、ごめん……。痛いよね、ごめん」


「そうじゃなくて、お会計は…」


「それは済ませてあるから、気にしなくて大丈夫だよ」


韮崎くんが冷静じゃないような感じだったから聞いたけど、それはそれで大丈夫じゃない…!