糸side

初めて足を踏み入れた男子校。
イメージよりとてもきれいだった。
この学校に彼がいたらいいなと思うけと、やはり恥ずかしい。

会いたいけど会いたくない。
でもやはり会いたい

ここ最近ずっとため息ばかり。
あっても何もなかったら?
私のこと知らなかったら?
そんなことばかり考えては気分が重くなる。

だから
遠くからでもいいから会えればいい。
一目見れたらいい。
話かけようなんて
そんなことは願ってはいけない。

奈々ちゃんといつしょに歩き回っていても
つい探しちゃう。

一目でいいから見たい。


「やはり有名進学校!顔面偏差値も、高いー!」

奈々ちゃんは楽しそうに話しする。
でも私はもうすれ違う人が気になって
それどころじゃない。

たしかに、すれ違った校内生、みんな、かっこいい。

けど
私が探している人はいない。

「あー!あれ楽しそう!いこう!」

奈々ちゃんが指差したのは執事カフェ。



ちょうど疲れていたし、休憩にいっか。

執事カフェはイケメンが多いのかとても人気で、すこし待ち時間があった。

クラスでもあまり男子と接点がないから
ちょっとドキッとする。

「イケメンばかりねー!」
奈々ちゃんが嬉しそうに興奮してる。

うふふ。
かわいいなあ。

奈々ちゃん、髪の毛もふわふわの天然で、すこし栗色で、肌も白いし、細い手足に顔も小さくて、
とても可愛い。

彼氏なんていつでもできそうなのに

何人も告白されているのに、

特定の人を作らないのは、、、

「でも、宗介のほうがかっこいい」

ポツリ頬を赤くして呟いた。

そう、幼馴染の宗介くんが好きなのだ。
宗介くんは、隣のクラスの男の子。
野球部で、有望なピッチャーで、次期主将候補のエース。
爽やかで、明るくて優しい人。

よく、奈々ちゃんと話ししているのを見かける。
お似合いの二人。

きっと宗介くんも、奈々ちゃんのこと好きなんだろうけど、お互いまだ伝えあえていない。

「はやく告しちゃえばー??」
奈々ちゃんが顔を真っ赤して、ムリー!と顔を手で隠す。
うふふ、可愛いなぁ。

「そんなことより!糸の好きな人まだ見つからないねー。二年の、教室にいそうなのに。」

15分くらい待ってようやく通されたテーブルについて
おすすめメニューをオーダーして待っていた。
あまーいにおいが空間に充満してて
幸せな気分になる。


しばらくして

「お待たせしました。カフェオーレ二つとダブルブルーベリーパンケーキです。」

細くてゴツゴツした長い指が見えて、
よく通る声が聞こえて、顔を向けると

「「???!!!!」」