糸side
「名前も知らないんでしょー?その人」
中学から親友の奈々ちゃんは毎日、このセリフとともに、呆れ顔をする。
もう、日課みたいなもの。
そう、
奈々ちゃんが言うようにわたしは彼のこと何も知らない。
毎日、通学電車で
目の前に立っている
シルバーの細いフレームのメガネをかけた男の子としかわからない。
「そ、そりゃ、名前はしらないけど、隣の駅の男子校に通ってるのは知ってるもん!」
それだけでしょー??と
がくんと奈々ちゃんはうなだれる。
「そ、それだけじゃないよ!たぶん同じ年」
彼の学校は一つ手前の駅にある男子校。
それも有名な私立の進学校。
今時珍しい学ラン詰襟だから、名前も知れ渡っている。
襟元に、学年の英数字を表したバッジをつけているのも知っているから、さりげなく見たとき、同じ二年生だと思った。
「毎朝、毎朝、ただ見つめるだけでもう半年。いい加減声かけてみたら?」
「えー!そ、そんなことできないよぅ。
なんて言えばいいのー??いきなり声かけたら怪しい人じゃん!!」
ブンブンと頭を横に振って否定する。
そんなこと無理!
いまだって、通学電車の中で本を読んでるフリして、彼を見るだけで緊張するのに。
わたしより先に電車に乗っている彼。
いつも扉が開くとき胸が高まって苦しくなる。
彼がいつものように本を読んでいる姿を見て嬉しくなる。
いつしか、彼を見ることがわたしの日常になっていた。
「でも、なんか、電車の中で初めて会って、それから毎日同じだなんて、なんかすごいよね」
頬杖つきながら奈々ちゃんがつぶやく。
違うの、、
奈々ちゃん、
わたしね、彼を初めて見たのは電車ではないんだ。
「名前も知らないんでしょー?その人」
中学から親友の奈々ちゃんは毎日、このセリフとともに、呆れ顔をする。
もう、日課みたいなもの。
そう、
奈々ちゃんが言うようにわたしは彼のこと何も知らない。
毎日、通学電車で
目の前に立っている
シルバーの細いフレームのメガネをかけた男の子としかわからない。
「そ、そりゃ、名前はしらないけど、隣の駅の男子校に通ってるのは知ってるもん!」
それだけでしょー??と
がくんと奈々ちゃんはうなだれる。
「そ、それだけじゃないよ!たぶん同じ年」
彼の学校は一つ手前の駅にある男子校。
それも有名な私立の進学校。
今時珍しい学ラン詰襟だから、名前も知れ渡っている。
襟元に、学年の英数字を表したバッジをつけているのも知っているから、さりげなく見たとき、同じ二年生だと思った。
「毎朝、毎朝、ただ見つめるだけでもう半年。いい加減声かけてみたら?」
「えー!そ、そんなことできないよぅ。
なんて言えばいいのー??いきなり声かけたら怪しい人じゃん!!」
ブンブンと頭を横に振って否定する。
そんなこと無理!
いまだって、通学電車の中で本を読んでるフリして、彼を見るだけで緊張するのに。
わたしより先に電車に乗っている彼。
いつも扉が開くとき胸が高まって苦しくなる。
彼がいつものように本を読んでいる姿を見て嬉しくなる。
いつしか、彼を見ることがわたしの日常になっていた。
「でも、なんか、電車の中で初めて会って、それから毎日同じだなんて、なんかすごいよね」
頬杖つきながら奈々ちゃんがつぶやく。
違うの、、
奈々ちゃん、
わたしね、彼を初めて見たのは電車ではないんだ。



