「昨日ずっと雨に打たれていたんだ。風邪をひくのも無理もないよ。」
 「………すみません。私があんな事をしなければ。」
 「花霞ちゃんのせいではないよ。でも、仕事は休んだ方がいいだろうね。」
 「………はい。」


 花霞は素直に頷いた。
 目眩から立つことすらできないのだ、仕事が出来るはずもないとわかっていた。
 栞の店で働き始めてから体調が悪くて休んでしまった事がないため、花霞は彼女に申し訳ないなと思ってしまう。
 しかし、ソファで横になりながら電話をすると、「大丈夫なの?気にしなくていいから。花霞は全然休まないから、沢山休んでいいのよ。明日もダメそうだったら連絡してね。」と、言ってくれたのだ。親友であり、上司である栞に感謝をして花霞は1日しっかり休んで明日からはしっかり働こうと思った。


 「じゃあ、寝室にいくよ。」
 「あ、自分で行けますよ!」


 昨晩のように、花霞を抱えようとする椋にしういうけれど、全く話しを聞こうとはしなかった。

 「さっき立てなかったのに?」
 「そ、それは…………。」
 「いいからつかまって。」
 「………はい。」


 有無を言わせぬ態度に、花霞は渋々従い彼に抱き抱えられて寝室に向かった。