溺愛旦那様と甘くて危険な新婚生活を




 『花霞ちゃん!?よかった繋がって………。仕事が早く終わって帰ったら家に君が居なくて。いつまでも帰ってこないから心配していたんだ。』
 「……………。」
 『花霞ちゃん……?どうした?何かあったのか………。お願いだ、返事をしてくれ。』



 椋の声が花霞の耳に伝わる。
 彼は心配してくれていたようで、とても焦った口調だった。
 けれど、花霞は椋の声を聞いた瞬間から、体が熱くなった。声にも温度があるとしたら、彼の声はとても心地よい体温のような温度だろうな、と花霞は思った。
 
 彼の熱を電話越しに感じてしまった花霞は止まっていたはずの涙がまたポロポロと流れた。
 嗚咽まじりになりながら、「椋さん………。」と名前を呼ぶと、彼が息を飲む音が聞こえた。


 『花霞ちゃん………大丈夫?何かあったの?今は一人………?』
 「椋さん、………ごめんなさい………私………。」


 彼にどう説明すればいいのか。
 花霞は上手く言葉を紡げずに、ただ彼の名前を呼んで謝る事しか出来なかった。


 『どうしたの………。いや、花霞ちゃん。よく聞いて。今はどこにいる?それだけでいい。教えてくれないか?』
 「………公園。」
 『公園か。それはどこの公園かな?』
 「…………職場の近くの駅………その近くだと思う。」
 『わかった。………この電話は切らないで居て。』