「えっ………。」
「じゃあ、今つけてるおまえの指輪くれよっ!おまえにやった物返してくれないなら、それでいいからよっ!」
「ちょっと、やめて………それは、だめっ!」
玲は強い力で花霞の手を引き寄せて、左手の指輪を見つめた。花霞は必死に抵抗するけれど、相手は大人の男だ。敵うはずもなかった。
指輪に手をかけた瞬間、玲はある事に気づいたようで、パタリと動きを止めた。
「左の薬指って………。おまえ、これ………。」
「……………。」
「………結婚したのか?」
「……………。」
花霞は返事出来ずに、彼に手を取られたまま視線を逸らした。
答えはしなくても、それがわかりやすい肯定だと伝わる態度だっただろう。
唖然とした様子だった玲は、突然「ハッハハハハハっ!!」と笑った。そして、花霞を抑え込み、薬指からキラキラと光る結婚指輪を取り上げた。
「玲ッ!ダメ………それだけはやめてよ!」
「………何言ってんだよ。浮気してたって事だろ?」
「な、何を………。」
玲から出た言葉は、花霞が予想をもしていないものだった。
彼は何を言っているのだろうか。
浮気………。私が浮気をしていた?それは玲の事ではないか。
けれど、ショックから声も出なかった。



