14話「心配事と夕飯の献立」






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 椋との生活は何事もなく平穏に続いていた。
 誕生日以来、彼が不穏な事を話すことはなく、いつも花霞を笑顔にさせてくれていた。

 ウェディングドレスで写真を撮ったものを出来上がり、2人で写真立てを選んで寝室に飾ったり、出来上がったフォトブックを見ては、幸せを共有していた。

 椋は多忙になり夜遅くまで仕事になる事も多くなり、すれ違いが続くこともあった。
 けれど、花霞の休みに会わせてくれたり、わざわざ職場に迎えに来てくれたりと、椋は花霞に会うために工夫してくれていた。

 どんなに忙しくても2人で話をしたり食事をしたりするおかげで、喧嘩する事もほとんどなかった。もし、してしまったとしても「その時間が勿体無い」と、椋も花霞は思っているせいか、すぐに話して解決するようにしていたのだ。


 彼と出会って2ヶ月が過ぎようとしていたこの1週間も、2人はすれ違いの日々を過ごしていた。
 花霞は大型連休なので、職場がいつもより忙しく、朝早く夜遅い生活だった。
 椋は、最近は朝は遅いが、帰りは日付が変わって夜が深くなる頃が多くなっていた。

 朝、早くに目覚ましを止め、花霞が目覚めると隣には椋がいた。昨日は朝方に帰って来たのは知っていた。そして、先ほどまで自身の書斎で何かをしており、花霞が起きる時間の少し前まで椋は起きていた。さすがに寝ているだろうと花霞がゆっくりとベットから離れようとした。