「花霞ちゃん、お疲れ様。どうだったかな?喜んでくれた?」
「うん!とっても楽しかった。少し緊張したけど、ドレスを着れたのは嬉しかったなぁ………。この年で恥ずかしいけど、お姫様になれたみたいで。」
「そっか。それはよかった。」
そういうと、椋は花霞にゆっくりと近づいて花霞の頬に触れた。
目の前の彼はシルバーのタキシードを着て、前髪を少しかきあげており、いつもより色気がある大人の男性に見えた。もちろん、彼は年上だし立派な大人だ。けれど、花霞にとって理想の王子様そのものだなと思って惚れ惚れとしてしまうのだ。
「俺と結婚してくれて、ありがとう。こんな可愛いお嫁さんを貰えて嬉しいよ。」
「………椋さん、いつもそう言ってくれるけど。………その、私も椋さんと結婚できて良かったと思ってるんだよ。こんなに幸せでいいのかなって。」
「…………花霞ちゃん。」
普段はなかなか言えない言葉。
それがドレスを着て、そして綺麗にしてもらったからだろうか。それとも教会の中だからなのか。素直な気持ちを彼に伝えることが出来た。
花霞の言葉を聞き椋はとても嬉しそうに微笑んだ。
「今日は君の誕生日なのに、俺がプレゼントを貰ったみたいだ。花霞ちゃんのその姿と言葉、忘れないよ。」
「…………私もです。」
花霞は、自然と目を瞑って彼のキスを待っていた。ここでキスをして欲しい。結婚式で誓いのキスをするかのように、花霞は椋からのキスを優しく受け止める。
願わくば、この関係が長く続きますように。
花霞は心の中でそう願っていた。