ShortStory 2 「2人だけの時間 後編」





 「蛍はどうだった?」


 蛍に会いに行いって帰宅すると、椋はすでに帰宅していた。この日は夜勤だったため朝方に帰ってきて、仮眠をとったようだった。花霞に温かいカフェインなしのジャスミンティーを出してくれた。


 「あ、うん………元気そうだったよ」


 蛍に言われた事をすぐに告げる勇気もなく、花霞はそう言葉を濁した。だが、椋はそれに気づかずに話を始めてくれてのだ、花霞は内心で安堵した。


 「蛍は警察の助けもしてくれてる。まぁ、俺の後輩曰く、「嫌々言いながらも結局やってくれる、ツンデレみたいだ」って言ってたけどな」
 「そうなんだ。蛍くん、頑張ってるんだね」
 「あぁ。それで刑が軽くなる事はないだろうが、それでも警察の中であいつの実力を認めている者が多くなっているのは事実だからな。出てきた時に、警察の内部で働けるというのは大きいだろう」
 「うん………遥斗さんと蛍くん自身が頑張って獲た居場所だよね」
 「あぁ、そうだな」


 蛍の事を想うと胸が痛くなる事もあった。
 だが、今では彼の笑顔を見ると、こちらが元気を貰ってしまう。だからこそ、あんな相談をしてしまったのだろう。彼の未来はどうなるのかまだわからない。けれど、蛍ならば大丈夫。そう思えるのだ。
 花霞は柔らかい微笑みを浮かべながら、ジャスミンティーを口に含んだ。