「俺は花霞ちゃんみたいな可愛い子と夫婦になれて幸せ者だな。あそこに居たのが君で本当によかった。」
「………それは、私です。あんなボロボロの私を助けてくれて、ありがとうございます。」
「ほら、敬語になってるよ。」
「あ、ありがとう………椋さん。」
慌てて訂正をして、再度そう言うと、椋は「そうそう。」と、満足した様子でニッコリと笑う。そして、髪に触れていた手で花霞の頬に触れた。花霞は、ビクッと体を震えさせたが、椋はそれを止める事はなかった。
「夫婦になったので、少しそれらしい事をしたくないかな?」
「え………。」
「俺………花霞の事、大切にするから。」
「…………ぁ…………。」
耳元で優しく呟かれた言葉。
そして、気づくと彼の顔が今までで1番近くなり、そして見えなくなった。
それと同時に、唇には柔らかな感触。キスをされた。それを理解した時には、もうそれは離れている、そんな短いキスだった。
「これから、よろしく。俺のお嫁さん。」
自分の唇をペロリと舐め、綺麗な顔をくしゃっとさせて素の笑顔を見せる椋に、花霞は「これから、大丈夫だろうか。」と、不安に思うのと同時に、胸が高鳴っているのを感じた。