ヴァージンロードの真ん中で、シルバーのタキシードを着た椋がこちらを見て微笑んでいる。少し怒っているのは、滝川ととても楽しそうに歩いていたからかもしれない。


 「花婿がそんな顔をするな。」
 「滝川さんのせいですよ。花霞ちゃんの見ながらデレデレしないでください。」
 「しょうがないだろう。こんなに綺麗な人をエスコートしているんだ。おまえには勿体ないわ。」
 「………結婚式でそんな事言う人いませんよ。」


 ヴァージンロードで喧嘩を始める2人を見て、お客さん達も思わず笑ってしまっている。花霞もクスクスと笑いながら、滝川にゆっくりと頭を下げた。


 「滝川さん、ありがとうございます。これからも、椋さんをよろしくお願いいたします。」
 「あぁ………2人共、お幸せに。」
 「はい。」


 花霞は椋に腕に手を添える。
 そして、ゆっくりと歩き始める。

 1年前、こんな風に椋と結婚するなど思ってもいなかった。
 けれど、今では椋が居ない日々なんて考えられるはずもなかった。

 椋と出会えて、本当の幸せを知った。
 椋と過ごして、大切な人を守りたいと強くなった。
 椋と愛し合えて、2人で過ごす未来を見ようと思えた。


 
 「椋さん。私、幸せだよ。」
 「あぁ。俺もだ。………あいつにも見せてやろう。幸せな姿を。」



 花霞と椋は、2人でゆっくりと歩き続ける。
 お互いを守り、そしてキラキラと花が咲くように、笑い合いながら幸せを感じながら、歩き続けるのだ。



             (おしまい)