「花霞さん。………鑑はしっかり者に見えてどこか危なっかしい。それはあなたがよく知ってる事かもしれない。けど、あいつはかっこいい男だ。信じて、見守って……時には叱ってやってくれ。」
「…………はい。椋さんの事は任せてください。私がしっかり幸せにします。」
「ははは。君は本当に頼もしい人だ。本当に警察に誘いたいものだ。」
「それを言ったら、椋さんに怒られますよ。」
「…………それは不味いな。あいつは怒ると何をするかわからんからな。」
ドアが開く前に、滝川とそんな話しをしていた。
椋が滝川を慕うように、滝川も椋を大切にしているのがわかる。本当の親子のようだな、と花霞は思っていた。
「それでは、ドアが開きます。ゆっくりとお進みください。花嫁様、お幸せに。」
スタッフにそう言われ、花霞は「ありがとうございます。」と、微笑み滝川にエスコートされながら、ヴァージンロードを歩いた。
小さな教会に集まってくれたのは、栞や椋の友人など少人数だった。
椋と花霞の親戚はいない。
けれど、とても温かい和やかな雰囲気で、花霞を迎えてくれている。
椋に「結婚式をしよう。」と、言われたときは迷ってしまったけれど、やはりしてよかったと思えるぐらいに、みんなが笑顔で見てくれた。
いろいろあったけれど、幸せだよ。そう伝えるために、この結婚式はあるのだと花霞は実感した。