「私は椋さんがしたい仕事をして欲しい。それに、警察官をしている椋さん、かっこいいだろうなーって思ってるんだよ。だって、写真の制服姿の椋さん、とっても素敵だった。」
 「………花霞ちゃん。でも………。」
 「椋さんは警察官になったら、私を守れないの?」
 「…………花霞ちゃんはズルいな。」
 「ふふふ。」


 花霞の言葉に少し驚きながらも、椋は少し困った顔を浮かべ微笑んだ。

 
 「わかったよ。………前向きに考えておく。」
 「よかった!!あ、それにね、目覚める前の夢でも、警察官になってって言ってたよ。」
 「え、誰が?」
 「んー………わからないんだけど。その夢も、今では曖昧で覚えてないんだ。けど、ここには来る場所じゃないよって言われた、かな。………優しい男の人の声だった。」
 「…………そうか。」


 椋は何かに気づいたのか、幸せそうに微笑むと、花霞の頭を撫でた。


 「…………幸せになろう、花霞ちゃん。」 
 「うん。もっともっと幸せに、ね。」
 「………ありがとう、愛してる。」



 ここは綺麗な夜景も見れない病室。そして、ドレスではなくピンク色の病衣だ。それに、綺麗に化粧もしていない。
 けれど、目の前には愛しい人が甘い言葉とキスをくれる。それだけで、何よりも幸せな瞬間になるのだ。


 「椋さん………好き………だよ。」


 キスの合間に、愛しい人に愛の言葉を伝える。その言葉を紡ぐだけでお互いが笑顔になれる。

 秘密もあり、少し危険な旦那様。
 だけど、花霞にとって最高の愛しい旦那様だ。



 花霞はまた、キスをせがむように、瞳を閉じて彼の唇の感触を待ちわびた。