36話「助言」





 白いベットに眠る花霞は、体から沢山のコードがついていた。
 浅い呼吸と、ピッピッ………という機械音が病室に響いていた。

 花霞は病院に運び込まれて、治療を受けた後、病室に運ばれた。
 大量の血を失ってしまっていたため、今夜は危険な状態になるかもしれないと言われた。

 握り返してくれない手を両手で包み、椋はただ祈る事しか出来なかった。



 「花霞ちゃん………俺の事なんて助けなくてもよかったんだ。君が幸せになってくれれば………それで………。」


 良かった。
 そう思っていたけれど、違うのだと気づき椋は口を閉ざした。

 本当にそれでよかったのか?
 彼女を1人にして、何が幸せなのだろうか。
 花霞の気持ちは、椋が1番知っている。
 花霞は、自分を愛してくれていた。だからこそ、椋の真実を知りここまで追いかけてきてくれたのだ。

 それなのに、気づかないふりなど出来なかった。


 「花霞ちゃん。………俺も君と一緒に生きたかったんだ。ずっとずっと……。けど、遥斗の命を奪ったあいつだけは許せなかったんだ。…………けど、こんな形になるなんて………ごめん、花霞ちゃん。何回でも謝るから………早く目を覚ましてくれ………。」


 椋はギュッと花霞の手を強く握った。
 けれど、彼女の手は冷たくて、「椋さん。」とも呼んでくれない。
 目をつぶったまま動かない花霞を見つめては、椋は大きな息を吐いた。