椋が追っているのは、きっと麻薬や違法ドラックなどの薬の関係のある人たちだと花霞は思っていた。ドラマや小説の知識しかないけれど、きっと何か取引などある場合は人混みよりも隠れての事が多いだろうと思ったのだ。目立たないようにわざと人混みに紛れる事もあるようだが、椋は「厄介な相手。」と書いていた。花霞はそれはきっと組織の中でも上位の者なのではないか。そう考えていたのだ。
 だとすれば、人混みは避けるのではないかと思ったのだ。


 「よし!休憩終わりっ。怪しいところを探そう。」


 足を座っていた太ももをポンポンッと叩き、花霞はまた立ち上がって、椋を探し始めた。





 しかし、簡単に見つかるはずもなく、花霞はまた1時間以上かけてラベンダー畑の入り口に戻ってきてしまった。辺りは少しずつ暗くなっている。


 「完全に夜になる前に見つけなきゃ………。」


 自分に言い聞かせるようにそう言うと、花霞はある場所に目がいった。
 そこにあったのは、広い駐車場だった。閉園時間も近いという事で、車の数も疎らだった。


 「そっか………椋の車を探せばいいんだ。」

 
 椋がここに来ているとすれば、彼の車があるはずだった。電車などで来ていなければ、この駐車場のどこかにあるはずなのだ。
 そして、その車の近くで待っていれば彼に合える可能性も高くなると思ったのだ。


 「何で思い付かなかったんだろ!探そう……。」


 花霞はすぐに駐車場の中から彼と同じ車を探した。駐車している台数は多いが、探せない数ではない。順番に歩き周りながら、1台1台を確認して歩いた。すると、彼の車はあっけなく見つかったのだ。


 「あった!!番号もあってる………。やっぱり考えはあってたんだ。」