「では、怪我をして帰った日や、いつから椋がいなくなったのか教えてくれませんか?」
 「わかりました。」


 花霞は、覚えている事は出来る限り滝川に伝えた。滝川は花霞の話しを真剣に聞き、時折相槌をうちながら、手帳にメモを取っていた。
 滝川という人物は昔の椋を知っていてくれる人だ。きっと彼を助けてくれる。そう、花霞は思った。
 
 
 「ご協力ありがとうございます。」
 「いえ、こちらこそよろしくお願い致します。」
 「もう1つだけ。今の椋の写真を何かお持ちではないですか?探すにあたり、他の者にも伝えておきたいのですが。」
 「あ…………。あることはあるのですが…………。」


 彼を探して貰うのに、所持している写真は先程彼の引き出しから取ってきた、ドレスとタキシード姿の物だけだった。さすがに、捜査で使うのには見せにくかった。
 けれど、滝川は「何でも大丈夫です。椋を見つける手がかりになるはずです。」と、言ってきたので、花霞は恥ずかしさを感じながら、2人で撮った写真を滝川に渡した。


 すると、「………これが、今の鑑……ですか。」と、何故か驚いた様子だった。


 「あの……やっぱりおかしいですよね。その、写真………。」
 「いえ、そんな事はありませんよ。」


 滝川はまじまじとその写真を見たあと、花霞の方を向いて、にっこりと微笑んだのだ。