花霞は椋の事を何も知らないのだ。

 仕事ではどんな事をしているの?
 親友はいるの?
 後輩とは仲がいい?
 趣味はどんな事なの?
 
 花霞の知っている椋はごく一部しかないと思い、花霞は頭が真っ白になってしまった。

 自分は本当に彼の妻なのだろうか。
 そう思ってから、不安に襲われてしまった。

 本当の結婚をしたはずなのに、どうしてこんなにも不安に思ってしまうのか。

 花霞は結婚指輪を指でなぞった。
 指輪は何故か、いつもより冷たく感じたのだった。






 結局は、どうすればいいのかわからず。
 気を落ち着かせるために、料理などの家事をして過ごした。
 0時を過ぎても椋は帰宅することはなかった。
 ベットに入っても寝れないことはわかっていたので、リビングのソファに座ってただただ祈るように夜景を見て、椋を待っていた。

 彼はここから見える所にいるのだろうか。それとも遠くに行っているのか。
 そんな事を思いながら過ごした。