心の中では不安だったけれど、日常では穏やかな日々が続いていた。
 長かった梅雨が開けてから、夏らしい暑さが続くようになっていた。
 そんなある日。椋と花霞の休みがなかなか合わない事が続いていたが、久々に近々彼と、1日中過ごせる日が決まったのだ。

 それから、花霞はどこに行こうかと、ずっと考えていた。椋には「好きなところに連れていくよ。」と言ってもらえたので、花霞はどんな所へ訪れようか、真剣に探していた。

 
 「んー………やっぱり、お花を見に行きたいかな。今は沢山の花が見頃だし。」
 「そうか。どんな花なんだ?」
 「えっと、定番のヒマワリに、サルスベリ、ダリア、まだバラも見頃かな。ハスもあるし、ラベンダーもあるよ。」
 「花霞ちゃんは、本当に花の事、詳しいね。」
 「うん!大好きだから。」
 「じゃあ、近くで何かあるか探してみるか。」
 

 ソファでくつろぎながら、2人でスマホを使ってイベントを探していった。
 忙しい日々が多い椋だったので、こうやって2人でゆっくり出来る時間が堪らなく幸せで、花霞は甘えてしまう。
 彼は自分を受け入れてくれる。それを実感できる安心感が心地よくて、そんな彼がとても愛しくて、花霞は彼の肩に頭をのせて、くっついて過ごしていた。そうすることで、彼の鼓動や体温、そして匂いで椋を直接感じることが出来るのだ。