25話「謝罪と秘密」




 椋はどうしてそんなに怒っているのだろうか?
 花霞はそれだけを考えていた。

 
 椋は花霞を激しく抱いた。
 と、言っても花霞を傷つけたり、苦しめる事はしなかった。
 
 ネクタイで拘束した後に、花霞の体をいつもより時間をかけて愛撫した。それにより恥ずかしさや気持ち良さで、花霞はある意味では苦しかったけれど、彼の指や唇が触れられる度に熱い彼の体温を感じられるのが、嬉しかった。
 けれど、腕にはネクタイ、そしていつもより硬い表情の椋。そして、花霞の気持ちも聞かずに始まった行為のはずなのに、花霞は快感を感じてしまっていた。


 それなのに、彼が与える気持ちよさを感じ、花霞は何度も達してしまいそうになった。
 

 けれど、その度に彼の動きは止まってしまうのだ。早く1番快楽を感じたくて、達せないという焦れったさに、花霞は苦しさを感じていた。


 それが、彼からの「お仕置き」だったのだ。


 気持ちよさと、焦れったさくる焦燥。
 恥ずかしいのに、欲望を求めてしまう羞恥。


 それが、花霞を襲っていた。


 何度も何度とそれを繰り返され、花霞は頭がおかしくなりそうになり、必死に彼を求めた。
 その度に、彼の表情は少しだけ切なさが見られたが、それもすぐに無表情に変わってしまう。
 

 その後、やっとの事で彼を感じ、花霞は椋に強く抱きしめられながら、ただ彼の与える快楽に溺れて、涙を流し、声を枯らして、最後にはそのまま夢の世界へと意識を飛ばしてしまった。

 その時に、耳元で「ごめん………花霞ちゃん。」と、とても切ない声で彼を言葉をもらしたのを、花霞は聞いたような気がしていた。