24話「晴れのち雨」





 今年の梅雨はいつもより長く、いつまでも雨雲が広がり、シトシトと雨が降り続く日が多かった。
 けれど、今日は少し晴れ間も出ており、花霞はその隙に洗濯物を干していた。雨が降る予定もなかったので、夕方になり帰宅した花霞は洗濯物を畳んでいた。



 「やっぱり外干しの方が、すっきりするよねー。」


 ぽかぽかした太陽の香りがしてくる洋服やタイルに触れると、思わずに笑みが溢れた。
 花霞は洗濯物を畳み終えて、片付けようとした時だった。


 開けていた窓から、ポタポタと小さな雨音が聞こえたのだ。
 慌てて窓に駆け寄ると、晴れていたはずの空はいつの間にか雨雲に覆われていたのだ。花霞は、すぐに部屋中の窓を閉めた。


 「今日は雨降らないと思ったんだけどな。早めに帰ってきてよかった。」


 花霞はどんどん強くなっている雨を見つめていた。と、その雨音が部屋の中で聞こえる気がしたのだ。


 「どこかの部屋の窓がまだ空いているのかな?」


 花霞は、音がする方に向かって早足で歩いた。すると、それはある部屋の中から聞こえたのだ。
 花霞が立っているのは、椋の書斎のドア前だった。