「これ、私の指輪に似てる………。」
 「うん。俺も見たときにビックリしたんだ。俺、この花霞ちゃんの指輪、気に入っちゃって。もしよかったら、その指輪をプレゼントするから、これそのまま貰ってもいいかな?」
 「え………。でも、それただ雑貨屋さんで買った安いものだし………。それに、これone sinの高価なものだし。こっちを椋さん使った方が………。」
 「俺が欲しいのは、この花霞ちゃんが使ってた指輪だよ。俺が交換して欲しいんだから、ね。」
 「………じゃあ…………。」
 「やった!じゃあ、これは俺にくれるんだね。嬉しいなぁ。」


 椋は嬉しそうに笑いながら、指で指輪に触れてニッコリと笑った。
 彼が、そんなにも喜んでくれるならプレゼントしてよかったなと思ってしまう。自分の手の中にはまたしても高価な指輪がある。
 本当に貰ってもいいのだろうか、と悩みながらも、満面の笑みの彼を見ていると断るのも忍びなくてありがたく受けとる事にしたのだった。


 「あ…………椋さん。怪我してる?」
 「え………。」
 「ほら、この右手の指のところ………。」
 「あぁ、これ………。」


 花霞が気づいたのは、椋の右指が全体的に赤くなっているのだ。所々内出血なのか、青っぽくもなっている。
 花霞はすぐに立ち上がり、「早く冷やさなきゃ!」と冷蔵庫から氷を取り出して、ビニールに入れて彼の右手に氷を当てた。