大きなトランクを片手に
空色学園の前に立った私は
これから始まる学園生活に
緊張と期待で胸がいっぱいになっていた。

門をくぐると高級Hotelの様な
大きな校舎が建っている。

セーラーにチェックのスカートの制服を
身に纏った先輩が笑顔で冊子を
配布していた。

｢入学おめでとう。｣

｢ありがとうございます。｣

渡された冊子には
空色学園高等学校入学要項とある。

歩きながら目を通すとそこには

「Master-detail relationship…？」

よく分からない単語が並べられた
この学園の制度についての説明が
掲載されていた。

落ち着いてから読み返そうと
手持ちのカバンに冊子をねじ込む。
カバンの名札には
SkyClassNo.2 水瀬天空(みなせそら)
と書かれている。

そう私、水瀬天空は空色学園に首席で
合格したかったのだが叶わなかったのだ。

独り立ちする為マンション付きの
この学園を受験し
なんとしても入学金家賃全額免除の
SkyClassに入る目標は達成した。

首席であれば授業料も全額免除であったし
取れる自信も努力した自信もあったのだが
上には上がいたのである。

この時私はこの学園の制度について
良く知らずに特典だけに焦点を置いていた。

Master-detail relationship制度
なんて甘くみていたのだ。
それどころかその意味さえ
知ろうとしていなかった。

私がその意味を知ることになるのは
もう少し先のこと。