「ちーす」

現れたのは、
おそらくパーマを当てたであろう、伸び放題の毛先がニット帽からはみ出ている、そしてメガネにマスク。

なんてテンプレな不審者だ、、、と思ってしまったことはそっと心にしまっておいて。
それにしても、まるで人相がわからない。
第一印象は、なんだかよくわからない人、だった。


「おー、ユウト、今日もだらけてやがる」
「夜勤明けなんだからしょうがないでしょ。俺もう帰りますよ、役目は果たしたし」
「へーへー、おつかれさん」


上司と気怠げに話す間、思ったよりも芯のある声に思わず耳を傾けてしまう。


「お、そうか、君はこいつに会うの初めてだったな」
『ええ?!あ、はい!はじめまして!』
「うす。ユウトです」
「こいつ、サボりで寝坊しまくるから気をつけろよ!」
「ねみぃ、俺帰りますね。じゃ、また」
『え?あ、お疲れ様でした!』


そんなこんなでファーストコンタクト終了。
豪快に話す上司とは対照的で、なんだかやる気なさそうな感じ。
夜勤、とか言ってたし、あんまり会うこともないのだろうと思っていた。