「ねぇ、桜行ってみてよー!」
「えぇー花音が行ってよー」
「やだよぉ恥ずかしいもん」
「わたしもだよぉ。やっぱさぁかっこいいよねぇ」
「ほんとそれね!話しかけにくオーラあるけど、それがまたいいっていうかぁ」
「わかるわかる!」
「きゃっ、目合った!」
「うそうそ!羨ましぃ」

目なんか合ってねーよ。丸聞こえだし。
俺はきゃぴきゃぴとした女子の空気があまり好きではない。男友達といる方が気が楽だし楽しい。
「ちょっとぉ、神崎くんまたまた惚れられてるじゃないですかぁ」
うわっ、うざいやつ来た。あからさまに迷惑そうな顔をすると、やだっそんな顔しないでぇなどといってくる。顔はかっこいいのに、なんか、もったいない。
「そんなことない」
「いーや、あれは完全に虜になっちゃってるね。いーなぁ、俺も姫野さんとかのかわいい女子に好かれたいぜ!」
胸のまえで手を組み、乙女のポーズをしている。
「お前かっこいいし、モテてるだろ」
実際、新庄はかっこいい。黙ってるといつもの倍はかっこいい。めちゃくちゃ性格もいいのになぁ、なんていうか。
「やんっもっとモテたいのよぉ」
うん、残念だ。
「神崎はさ、好きな人とかいないわけ?」
「好きな人…」
そう言われて頭に浮かんだのは、入学式の日ぶつかったあいつだ。奇跡的に部活が同じで、名前を知ることができた。瀬名蒼とかって言ってた。
「…せ」
「やっぱ七瀬さんかぁ!かわいいもんな」
瀬名と言いたかったのに勝手に七瀬だと勘違いをされた。いや、瀬名っていうのもおかしいか。男だしな。
「まぁそういうことにしといて」
「おっとこれは違う人だなぁ?おい、教えろよー」
う、うぜぇ。
「もう俺部活行くから」
「ちぇっ、冷たいなぁ。拗ねちゃうぞ!」
「ご勝手に」
俺は部活着をもつと部室へと向かった。まだ後ろで新庄が何か言っていたが、そ知らぬふりをする。また後で何か連絡してくるんだろう。ま、楽しいからいい。

部活帰り、電車で携帯を開くと案の定新庄から連絡が来ていた。
『ねぇ誰が好きなの?』
しつこい。しかもなんかハートのスタンプ付きだし。
「いない」
『絶対いる』
返信はやすぎだろ。
「いないってば。それより夏休みどっか涼しいところ遊びいかね?」
『やん、神崎くんからのお誘いだなんて♡行くわ』
うーん…、こいつ大丈夫かな。オカマか、それともゲイか?
「どこ行く?」
『プールとかは?』
「あーいいね。プールにするか」
『オッケー!やったぁ神崎の水着姿見れる』
「良かったな」
ほんとに大丈夫か、こいつ。
とりあえずプールは嬉しい。最近暑すぎるし。
そこでふと新庄と遊びいくのが何気にはじめてだったことに気がついた。意外といえば意外である。なんだかんだ入学してから一番仲良くしてもらっているのだ。そういえばこんど誕生日とか言ってたっけ?ジュースでも奢るか。