キールがグリフィンを呼ぶまでもなく、グリフィンはディアナの目の前まで来ていた。バルコニーの手すりに寄りかかり、調練を見ていたはずではなかったか。その素早さに、ディアナは驚いた。
「馬が見たいのか、馬が！」
薄茶色がかった目で、まっすぐに見つめられたディアナは思わず構えてしまった。人に向ける視線ではなかった。獲物を捕らえるような目つきだった。これまでの目つきとは、人が変わったように違っていた。
「は、い。あのう、だめですか」
「そんなに馬が見たいか、よしよし。いいだろう。俺の言うことがきけるなら、連れて行ってやってもいい」
グリフィンは豹変した。強引にディアナの腕を取りって立ち上がらせたから、ディアナの侍女であるアネットを慌てさせた。
「ひ、姫さまっ」
すぐ脇で、キールも苦笑している。
「おや、もう行くの？」
「暗くなる前がいいだろう。夕方にはまた、あいつらの世話もあるし、ここから眺めるに、兵の調練も少しだらけているように見える」
「相変わらず、馬のことになると熱が入るねぇ」
「俺は、軍人だ」
「ふうん。でも、グリフィンがいないだけで気が緩む軍隊なんて、ちょっと不安だな。もっとしっかり指導したほうがいいんじゃない？」
「余計な口出しはやめてくれ。本来ならば、王太子弟たるお前が指揮すべき軍隊なんだぞ。さあ、姫さん。行こう。天馬の話も聞きたい。天馬とはいったいどういう馬なんだ、厩舎にいるだろうか。普通の馬が天馬に化けるのか？」
向かったのは、西の棟に置かれている王軍の本部。足早に廊下を歩きながら、グリフィンはこう言った。
「俺は、馬を育てているんだ。育てていると言っても、世話をしているだけじゃない。生産、育成、配合まで考えている。戦場で活躍できる、より強い馬を作るために」
王子自らが馬の世話をしている、という事実だけでも驚きなのに、馬まで生産しているなんて。ディアナの城でも、馬は乗るためにつないでいるが、世話はもちろん専門の馬丁が行っていた。
「天馬っていうのは、どんな馬なんだ？ 姫さんの国にたくさんいるのか？ ただの馬とは、どう違うのか？」
グリフィンには熱がこもっている。適当にあしらっては、怒りを買うだろう。
「えーと。天馬は、背中に大きな翼があって、体の色は銀色だそうです。突然現れるのではなく、実在している馬がある日変化すると聞きました。天馬になった馬は、天地を自由に駆け抜け、神の近い存在になります」
「軍馬は鹿毛ばかりだ。銀の馬体のやつはいない」
「ええ、まあ、私が見れば……たぶん、そのあたりは直感らしいです」
「人間に、天馬は使役できないのか」
「一度、天馬になって銀脈を示したあとは、天に駆け上って自由意志を持つそうです。人間とは共存できませんが、銀の血をひく主の命令だけは、気まぐれに聞くそうです」
「その言い方だと、姫さんは見たことがないんだな」
「はい、残念ながら。現在、銀の国で天馬を探すことができるのは、私の母だけです。母……識者が見つけた天馬は、識者に銀脈を示し、駆けるんです」
「なるほど。ここの馬は、抜群にいい。天馬に化ける馬もきっといるな、うん」
グリフィンはうんうんと頷きながら自己満足に浸り、にやついている。
「厩舎はここを左に曲がるんだが、ちょっとやつらに一喝してきていいか」
やつらって？ ディアナの返事を聞かずに、グリフィンは右に折れ、調練場へ走っていった。追いかけるべきか待つべきか、少し迷ったけれど、大国の王軍とやらも気になるので、柱の陰からそっと様子を窺ってみることにした。
「おい、声が出てねえぞっ。俺がいないと、全員で息抜きでもすんのか？」
王軍の前にグリフィンが現れると、一斉に兵が背筋を正した。
「いつなんどき、敵は攻めてくるか分からない。ほんの一瞬の油断が、命取りになる。誇り高き王軍の一員として、自信を持って行動するんだ……ってお前ら、聞いてんのか！」
耳と姿勢だけはグリフィンの説教に傾きながらも、目は柱の陰に隠れているディアナと侍女に注がれていた。
「女だ」
「若い女だ」
「見たことないな」
「客人か」
「まさか、グリフィンさまの」
「いや、それはないだろうよ」
私語が走る。グリフィンは舌打ちをして頭をかかえた。
「たるんでいるぞ、まったく。姫さん、そんなところに隠れていないで、出てくるなら出て来い！ どいつもこいつも、中途半端な」
怒りの矛先が自分だと知ったディアナは、飛び上がらんばかりに驚いた。なんとなくディアナ扱いされていたはずなのに、命令口調に変わってしまった。こわい。アネットは、がたがたと震え上がっている。
「た、ただいま参ります」
ディアナは呼吸を整え、王子のそばに立つと、兵の前で深く一礼をした。
「こちらは、我が隣国、プレイリーランド……銀の国の姫・ディアナ姫さんだ。大切な客人だ。我が国で見聞を広めるために、しばらく滞在する。くれぐれもお前ら、失礼のないように。いいな、さあ調練の続きを行え。またあとで巡回するぞ」
さあ行くぞ、グリフィンはディアナを促して歩かせた。そのあとを、あわててアネットが続く。
「最初にああでも言っておかないと、のちのち厄介だからな。ひとりで兵には近づくんじゃないぞ。王の兵とはいえ、男の集団。危険だ」
「は、はいっ」
どうにも怒られているような感じがする。ディアナは緊張を高めた。馬を見たい、なんて言うんじゃなかったかも。バルコニーで、愛らしいキールとお茶していたほうがよかったかも。この人、ものすごく怖い！
「ここを左」
案内された先には、馬房がずらりと並んでいた。人の気配に気がつき、ぴくんと耳をひくつかせて部屋から顔を出した馬もいる。
「か、かわいい！」
ディアナは素直に感激した。
黒くて大きな目。よく手入れされた、つやつやの毛並み。長い脚。
「だろう。ま、当然だが。じっくり見てやってくれ。ここにいる馬は皆、人間が大好きで信頼している。銀毛の馬を探しているってことは、芦毛か？ 俺の軍馬に、芦毛馬はいないんだが。毛が白っぽいと、どうしても戦場では目立つから標的にされやすい。人も、馬もかわいそうだ」
「いいえ。生まれたときに持った毛色と天馬とは関係ないらしいです。変化、というより転生に近いのかもしれません」
「なるほど」
ディアナは一頭一頭をよく見て回った。栗毛、鹿毛、青毛。額の流星の形も個性的で、どれも違っていた。初めて見るディアナの姿をどの馬も観察しているが、日頃親しんでいるグリフィンが一緒に回っているので、馬たちの警戒心は薄いようだった。
「いるか、いるのか？ 天馬は」
グリフィンは身を乗り出した。馬のことになると、表情豊かで多弁になるグリフィンが正直、わずらわしい。ディアナは苦笑で返す。
「ええと、まだ分かりません。ごめんなさい」
「よく見てくれ。きっといるはずだ。なにせ、王軍の騎馬。我が国に、これ以上の馬はいない。なにせ、起居を共にする俺が作り出した馬たちだ」
他人の迷惑顧みず、馬への熱い情熱は止まらない。
「起居？」
「ああ。俺の部屋は、あそこだ」
なんのためらいもなく、グリフィンは厩舎の隣の建物を指差した。藁小屋だった。お世辞にもきれいとは言えない。もしかしたら、厩舎のほうが設備は整っているかもしれないほどだ。
「馬と一緒に生活して、こいつらの考えていることがいっそう分かるようになった。城の堅苦しい毎日より、俺には断然こっちが合っている」
苦笑だけでなく、ディアナは眉も曲げる。思わず、アネットと顔を見合わせた。
一国の第二王子が、毎日の世話だけでは飽き足らず、馬と暮らしている？ もしかして、いいえ、もしかしなくてもこの王子、相当な変わり者？
「あのう、風が少し出てきたので、部屋に戻らせてくださいませ。続きはまた今度」
失礼にならないように軽く頭を下げ、スカートの裾を軽くさばきながら、ディアナはアネットを促してすたすたと歩き出した。
馬を見るのはいいけれど、グリフィンのいないときにしたい。ああも隣で、延々と喋り続けられると、集中できなくなる。銀の天馬。識者は直感で知るらしいけれど、ディアナにも分かるのかどうか、それは疑問だった。
グリフィンの馬偏愛っぷりに、途方に暮れたディアナが部屋に帰ると、卓の上にはどっさりと食べきれないほどのスコーンとクッキーの入ったバスケットが置かれていた。
「まるまる太らせて、姫さまをぺろりと食べてしまいたいということでしょうか。あれ、ディアナさま、お手紙がバスケットの中に」
アネットが取り上げた手紙にはなかなかの美しい字で『明日、貴女の心を奪いに参上いたす』とあった。
「キールさま、ですよね」
まったく、どの王子も度が過ぎる。
ディアナが裏返してみると、『軍馬の見学会はさぞかしくたびれたでしょう。明日はわたしと楽しく町を散策しましょうね。朝餉後、歩きやすい軽装で、今日お茶したバルコニーにてお待ちください』
ディアナは思わず、手紙で顔を隠した。全身から汗が吹き出そうだった。知らなかったとはいえ、第二王子の困った趣味にお付き合いしてどっと疲れを背負ってしまった身にとっては、ありがたいことばだった。
年下だからと、なんとなくキールは圏外だと考えていたが、けっこうアリなのかもしれない。結婚に敗れたばかりなのに。不謹慎だなと思いつつも、ディアナの心はあたたかくなった。
「馬が見たいのか、馬が！」
薄茶色がかった目で、まっすぐに見つめられたディアナは思わず構えてしまった。人に向ける視線ではなかった。獲物を捕らえるような目つきだった。これまでの目つきとは、人が変わったように違っていた。
「は、い。あのう、だめですか」
「そんなに馬が見たいか、よしよし。いいだろう。俺の言うことがきけるなら、連れて行ってやってもいい」
グリフィンは豹変した。強引にディアナの腕を取りって立ち上がらせたから、ディアナの侍女であるアネットを慌てさせた。
「ひ、姫さまっ」
すぐ脇で、キールも苦笑している。
「おや、もう行くの？」
「暗くなる前がいいだろう。夕方にはまた、あいつらの世話もあるし、ここから眺めるに、兵の調練も少しだらけているように見える」
「相変わらず、馬のことになると熱が入るねぇ」
「俺は、軍人だ」
「ふうん。でも、グリフィンがいないだけで気が緩む軍隊なんて、ちょっと不安だな。もっとしっかり指導したほうがいいんじゃない？」
「余計な口出しはやめてくれ。本来ならば、王太子弟たるお前が指揮すべき軍隊なんだぞ。さあ、姫さん。行こう。天馬の話も聞きたい。天馬とはいったいどういう馬なんだ、厩舎にいるだろうか。普通の馬が天馬に化けるのか？」
向かったのは、西の棟に置かれている王軍の本部。足早に廊下を歩きながら、グリフィンはこう言った。
「俺は、馬を育てているんだ。育てていると言っても、世話をしているだけじゃない。生産、育成、配合まで考えている。戦場で活躍できる、より強い馬を作るために」
王子自らが馬の世話をしている、という事実だけでも驚きなのに、馬まで生産しているなんて。ディアナの城でも、馬は乗るためにつないでいるが、世話はもちろん専門の馬丁が行っていた。
「天馬っていうのは、どんな馬なんだ？ 姫さんの国にたくさんいるのか？ ただの馬とは、どう違うのか？」
グリフィンには熱がこもっている。適当にあしらっては、怒りを買うだろう。
「えーと。天馬は、背中に大きな翼があって、体の色は銀色だそうです。突然現れるのではなく、実在している馬がある日変化すると聞きました。天馬になった馬は、天地を自由に駆け抜け、神の近い存在になります」
「軍馬は鹿毛ばかりだ。銀の馬体のやつはいない」
「ええ、まあ、私が見れば……たぶん、そのあたりは直感らしいです」
「人間に、天馬は使役できないのか」
「一度、天馬になって銀脈を示したあとは、天に駆け上って自由意志を持つそうです。人間とは共存できませんが、銀の血をひく主の命令だけは、気まぐれに聞くそうです」
「その言い方だと、姫さんは見たことがないんだな」
「はい、残念ながら。現在、銀の国で天馬を探すことができるのは、私の母だけです。母……識者が見つけた天馬は、識者に銀脈を示し、駆けるんです」
「なるほど。ここの馬は、抜群にいい。天馬に化ける馬もきっといるな、うん」
グリフィンはうんうんと頷きながら自己満足に浸り、にやついている。
「厩舎はここを左に曲がるんだが、ちょっとやつらに一喝してきていいか」
やつらって？ ディアナの返事を聞かずに、グリフィンは右に折れ、調練場へ走っていった。追いかけるべきか待つべきか、少し迷ったけれど、大国の王軍とやらも気になるので、柱の陰からそっと様子を窺ってみることにした。
「おい、声が出てねえぞっ。俺がいないと、全員で息抜きでもすんのか？」
王軍の前にグリフィンが現れると、一斉に兵が背筋を正した。
「いつなんどき、敵は攻めてくるか分からない。ほんの一瞬の油断が、命取りになる。誇り高き王軍の一員として、自信を持って行動するんだ……ってお前ら、聞いてんのか！」
耳と姿勢だけはグリフィンの説教に傾きながらも、目は柱の陰に隠れているディアナと侍女に注がれていた。
「女だ」
「若い女だ」
「見たことないな」
「客人か」
「まさか、グリフィンさまの」
「いや、それはないだろうよ」
私語が走る。グリフィンは舌打ちをして頭をかかえた。
「たるんでいるぞ、まったく。姫さん、そんなところに隠れていないで、出てくるなら出て来い！ どいつもこいつも、中途半端な」
怒りの矛先が自分だと知ったディアナは、飛び上がらんばかりに驚いた。なんとなくディアナ扱いされていたはずなのに、命令口調に変わってしまった。こわい。アネットは、がたがたと震え上がっている。
「た、ただいま参ります」
ディアナは呼吸を整え、王子のそばに立つと、兵の前で深く一礼をした。
「こちらは、我が隣国、プレイリーランド……銀の国の姫・ディアナ姫さんだ。大切な客人だ。我が国で見聞を広めるために、しばらく滞在する。くれぐれもお前ら、失礼のないように。いいな、さあ調練の続きを行え。またあとで巡回するぞ」
さあ行くぞ、グリフィンはディアナを促して歩かせた。そのあとを、あわててアネットが続く。
「最初にああでも言っておかないと、のちのち厄介だからな。ひとりで兵には近づくんじゃないぞ。王の兵とはいえ、男の集団。危険だ」
「は、はいっ」
どうにも怒られているような感じがする。ディアナは緊張を高めた。馬を見たい、なんて言うんじゃなかったかも。バルコニーで、愛らしいキールとお茶していたほうがよかったかも。この人、ものすごく怖い！
「ここを左」
案内された先には、馬房がずらりと並んでいた。人の気配に気がつき、ぴくんと耳をひくつかせて部屋から顔を出した馬もいる。
「か、かわいい！」
ディアナは素直に感激した。
黒くて大きな目。よく手入れされた、つやつやの毛並み。長い脚。
「だろう。ま、当然だが。じっくり見てやってくれ。ここにいる馬は皆、人間が大好きで信頼している。銀毛の馬を探しているってことは、芦毛か？ 俺の軍馬に、芦毛馬はいないんだが。毛が白っぽいと、どうしても戦場では目立つから標的にされやすい。人も、馬もかわいそうだ」
「いいえ。生まれたときに持った毛色と天馬とは関係ないらしいです。変化、というより転生に近いのかもしれません」
「なるほど」
ディアナは一頭一頭をよく見て回った。栗毛、鹿毛、青毛。額の流星の形も個性的で、どれも違っていた。初めて見るディアナの姿をどの馬も観察しているが、日頃親しんでいるグリフィンが一緒に回っているので、馬たちの警戒心は薄いようだった。
「いるか、いるのか？ 天馬は」
グリフィンは身を乗り出した。馬のことになると、表情豊かで多弁になるグリフィンが正直、わずらわしい。ディアナは苦笑で返す。
「ええと、まだ分かりません。ごめんなさい」
「よく見てくれ。きっといるはずだ。なにせ、王軍の騎馬。我が国に、これ以上の馬はいない。なにせ、起居を共にする俺が作り出した馬たちだ」
他人の迷惑顧みず、馬への熱い情熱は止まらない。
「起居？」
「ああ。俺の部屋は、あそこだ」
なんのためらいもなく、グリフィンは厩舎の隣の建物を指差した。藁小屋だった。お世辞にもきれいとは言えない。もしかしたら、厩舎のほうが設備は整っているかもしれないほどだ。
「馬と一緒に生活して、こいつらの考えていることがいっそう分かるようになった。城の堅苦しい毎日より、俺には断然こっちが合っている」
苦笑だけでなく、ディアナは眉も曲げる。思わず、アネットと顔を見合わせた。
一国の第二王子が、毎日の世話だけでは飽き足らず、馬と暮らしている？ もしかして、いいえ、もしかしなくてもこの王子、相当な変わり者？
「あのう、風が少し出てきたので、部屋に戻らせてくださいませ。続きはまた今度」
失礼にならないように軽く頭を下げ、スカートの裾を軽くさばきながら、ディアナはアネットを促してすたすたと歩き出した。
馬を見るのはいいけれど、グリフィンのいないときにしたい。ああも隣で、延々と喋り続けられると、集中できなくなる。銀の天馬。識者は直感で知るらしいけれど、ディアナにも分かるのかどうか、それは疑問だった。
グリフィンの馬偏愛っぷりに、途方に暮れたディアナが部屋に帰ると、卓の上にはどっさりと食べきれないほどのスコーンとクッキーの入ったバスケットが置かれていた。
「まるまる太らせて、姫さまをぺろりと食べてしまいたいということでしょうか。あれ、ディアナさま、お手紙がバスケットの中に」
アネットが取り上げた手紙にはなかなかの美しい字で『明日、貴女の心を奪いに参上いたす』とあった。
「キールさま、ですよね」
まったく、どの王子も度が過ぎる。
ディアナが裏返してみると、『軍馬の見学会はさぞかしくたびれたでしょう。明日はわたしと楽しく町を散策しましょうね。朝餉後、歩きやすい軽装で、今日お茶したバルコニーにてお待ちください』
ディアナは思わず、手紙で顔を隠した。全身から汗が吹き出そうだった。知らなかったとはいえ、第二王子の困った趣味にお付き合いしてどっと疲れを背負ってしまった身にとっては、ありがたいことばだった。
年下だからと、なんとなくキールは圏外だと考えていたが、けっこうアリなのかもしれない。結婚に敗れたばかりなのに。不謹慎だなと思いつつも、ディアナの心はあたたかくなった。
