「あ・・・、いかないから!放課後忙しいしっ!」
声は隼人くんに届かなかったと思う。
『放課後待ってるね』って・・・、一緒に帰ろうってこと?!
あたしは自分の思考回路を出来る限り働かせて、いろいろなパターンを考えていた。
真紀には手を引かれ、友達には制服の裾を摘まれ、隼人くんはあたしに向かってにこやかに手を振るこの状況で、あたしはなんだか、頭がいたくなりそうだ・・・。
すれ違う、新しく始まる高校生活に胸を弾ませる新入生たちを見ていると、去年の事を思い出す。
あたしも、こんな感じだったかもしれない。
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