「お母さん、柊吾にウザ絡みしないでよー。
…柊吾、上がって?」
「…お邪魔します。」
私のお母さんは基本イケメンが大好き。
イケメンに会ったら、ずーっと引っ付いてお喋りが止まらなくなってしまうのだ。
これ以上柊吾をこの場にいさせたらキリがない。
グイグイと彼の背中を押して、階段を上がるように促す。
「ねぇ、今日は桜ちゃん来ないの?
…葵斗くんと咲花ちゃんは?」
イケメンが大好きなお母さんは、もちろんお隣の桜河のことも大好き。
お気に入りの‘桜ちゃん’が来ないからか、少しだけむくれるお母さんに言い返す。
「今日は柊吾にマンツーマンで教えてもらうの!
…それじゃあ私達、勉強に集中するから。」
早口で言い切って、階段を駆け上がった。



