君のとなりで恋をします。─上─











「おいこら、暴れんな。

他の乗客に迷惑だろーが。」










桜河の言葉に周りを見渡すと、ニコニコしてこちらを見るご老人たち。


このバスを利用するのは、大体車を持たない学生か高齢者。







「あー、いいのいいの。

気にせず続けておくれ。」








「初々しいのぉ〜。


わしらの若い頃を思い出すわい。

… なぁ、婆さんや?」






「そうですねぇ…。」











周りがいい人たちばかりでよかったけど…

そんな顔で見られたら、逆にやりづらい。





てゆーか…葵斗に騒ぐなとか言っておいて、自分が暴れてるじゃん…。






アホか私。

いや…でも元はと言えば…








「もう、桜河のせいじゃん。

はやく私のスマホ返して!」






「はいはい、わかったよ。」










さすがの桜河も周りの目が恥ずかしかったのか、あっさり私にスマホを返す。