「おいこら、暴れんな。
他の乗客に迷惑だろーが。」
桜河の言葉に周りを見渡すと、ニコニコしてこちらを見るご老人たち。
このバスを利用するのは、大体車を持たない学生か高齢者。
「あー、いいのいいの。
気にせず続けておくれ。」
「初々しいのぉ〜。
わしらの若い頃を思い出すわい。
… なぁ、婆さんや?」
「そうですねぇ…。」
周りがいい人たちばかりでよかったけど…
そんな顔で見られたら、逆にやりづらい。
てゆーか…葵斗に騒ぐなとか言っておいて、自分が暴れてるじゃん…。
アホか私。
いや…でも元はと言えば…
「もう、桜河のせいじゃん。
はやく私のスマホ返して!」
「はいはい、わかったよ。」
さすがの桜河も周りの目が恥ずかしかったのか、あっさり私にスマホを返す。



