君のとなりで恋をします。─上─
















「めんどくせぇ…。」











軽くため息をついてから座った桜河の真後ろの席に、私も座る。


田舎で乗客が少ないとはいえ、私達の他にも数人の乗客がいる。




葵斗に車内で騒がれても困るから、先に乗った二人とは 少し離れた所に座った。












「チッ…」







窓の外を睨みながら舌打ちをする桜河は、かなり不機嫌そう。


まぁ、理由はさっきの事なんだろうけど。











「ねぇ、桜河…

さっきハンカチを押し返したのは、咲花のお気に入りのハンカチを汚したくなかったからでしょ?」







「…。」










何も言わないっていうことは、多分図星だ。

桜河は基本的に無口だから…










「確かにあれは、言葉足らずで冷たく聞こえたけど…


…桜河ちゃんは優しいでちゅもんねぇ〜!」












最後はふざけて、桜河の髪の毛を後ろからワシャワシャと撫で回す。