「めんどくせぇ…。」
軽くため息をついてから座った桜河の真後ろの席に、私も座る。
田舎で乗客が少ないとはいえ、私達の他にも数人の乗客がいる。
葵斗に車内で騒がれても困るから、先に乗った二人とは 少し離れた所に座った。
「チッ…」
窓の外を睨みながら舌打ちをする桜河は、かなり不機嫌そう。
まぁ、理由はさっきの事なんだろうけど。
「ねぇ、桜河…
さっきハンカチを押し返したのは、咲花のお気に入りのハンカチを汚したくなかったからでしょ?」
「…。」
何も言わないっていうことは、多分図星だ。
桜河は基本的に無口だから…
「確かにあれは、言葉足らずで冷たく聞こえたけど…
…桜河ちゃんは優しいでちゅもんねぇ〜!」
最後はふざけて、桜河の髪の毛を後ろからワシャワシャと撫で回す。



