君のとなりで恋をします。─上─










「…桜ちゃん!血が出てる!」








心配そうに桜河に駆け寄った咲花は、出血した桜河の右肘にハンカチを当てる。









「…いいって。やめろよ。」









そんな咲花の手を押しのける桜河と、その桜河の行動に涙目になる咲花。







「おい、桜河!

咲花の気遣いを押し返すなよ!」









案の定、涙目の咲花を見てキレる葵斗。



ここでいつも、みんなをなだめるはずの柊吾が、いくら探しても見当たらない。



柊吾のことが気になったけど、今はとりあえず葵斗を止めないと…。




そこにちょうどいいタイミングで到着したバス。













「ほ、ほら!バス来たよ。

葵斗、バスの中では騒がないでね。」









葵斗は桜河を威嚇しながら、咲花の腕を引いてバスに乗り込んでいく。